メゾンドパーシモンズ

Sky 星を紡ぐ子どもたちのアップデートから学ぶこれからのUX考察

記事作成日: 2021/03/26
sky
Sky children of the light
UX
thatgamecompany

はじめに

こんにちは!デザイナーのウェンディです。 先日、私が大好きなスマホゲーム『Sky 星を紡ぐ子どもたち』のアップデートがありました。その中で「これからのUX」のヒントになるような学びがあったので、皆さんにお伝えしたいなと思います! あれこれと書いてはいくのですが、とても素敵なゲームなのでこれをきっかけに皆さんにもSkyの世界について知っていただければなと思います!

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』 とは

ゲーム画像

「Sky 星を紡ぐ子どもたち」は、『thatgamecompany』という世界的にも有名な制作会社からリリースされているソーシャルゲームです。 「光をエネルギーとする人型の存在『星の子』となって、幻想的な世界を探検する」ことができるゲームなのですが、 Skyでできることを大きく3つあげると、 ・壮大な美しい世界を自由に飛びまわり、かけ回れる ・ゲームの中で友達と交流を楽しめる ・キャンドルの灯りを集めて、コスチュームをもらったり、楽器を演奏したりすることができます!

また、thatgamecompanyは『creating timeless interactive entertainment』というコンセプトを大事にしている会社で、「ゆったりと流れる時間の中で人の感情を動かすようなエンターテイメント」を目指してゲーム作りをされている会社でもあります。

私が考えるSkyの魅力

感情を表現するエモート機能

thatgamecompanyはNon-Verbalと呼ばれる言葉を使わないコミュニケーションをとても重要視していています。Skyの世界では、様々な国のユーザが集まっているため、言葉の障壁を飛び越えて全てのユーザオープンにコミュニケーションを取ることができるように設計されています。 (あっちに行こうよやありがとう!といったエモーションを通した会話は日常茶飯事です!)

豊富なコスチュームデザイン

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Skyで操作するアバター、星の子は初期装備がとてもシンプルな装備になっています。物語を進めることで、星の子はキャンドルを手に入れることができるので、キャンドルをコスチュームと交換して自分の星の子をアレンジすることができます。(ちなみに私の星の子は最大毛量を目指したアフロです笑) またこの初期装備のデザインは、ジャンダーレスなデザインが目指されていて、Skyのなかで差別や偏見のあるコミュニケーションをとってほしくないというthatgamecompanyがの考えが色濃く反映されている点でもあります。、ユーザが日頃抱えるジェンダーや国籍などに捉われず、ゲームを楽しめるようにデザインにされてます。

畏怖を感じる壮大な世界

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やはりSkyの一番の魅力はなんといってもこの「壮大な世界観」にあると思います! Skyの世界は、美しく豊かな自然、野原のそよぐ音、そして自分を遥かに超える存在など、畏怖を感じる存在の力、そのままがゲームの世界に溶け込こんでいることが最大の魅力だと思います。その背景では環境音やユーザの感情起伏まで精密にデザインされているからこそであり、同じクリエイティブに携わる人間として尊敬の念を抱かずにおれません。(凄すぎる…)そんな癒しの力を持つskyのゲームはメディア賞なども受賞しており、多方から評価の高いゲームです!

今回のアップデートでの変更点

さて、本題です。今回アップデートでは、「デイリー・ライトの精製率の変更」が発表されました。

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デイリー・ライトとは、skyの世界の中では通貨を得るためのエネルギーのようなもの指し、ユーザはこのライトを毎日集めることでキャンドルを精製します。精製したキャンドルは新しいコスチュームやエモートと交換することができるので、それを目的としてユーザはデイリー・ライト集めに勤しみます。 しかし、このライトをたくさん集めるためには広大なエリアを日々走り回る必要があり、6つの大きなエリアを走り回っても1日で集められるキャンドルは16本ほどでした。 (この写真にもあるようにかわいいリボンを手に入れるには42本のキャンドルを作る必要があります)

なぜアップデートされたのか

今回理由としてあげられていたのは、「プレイヤーがライトを集めるために毎日の莫大な時間をSkyに費やしていた」ということがあります。 私もそうだったのですが、デイリー・ライトのために毎日の時間をゲームに費やすことが難しいユーザが増え、やめていくユーザが増えたことがきっかけなのかな、と思います。

今回のアップデートの内容

今回発表された内容は、「1日の総キャンドル数をそのままに、、ログイン時に精製効率が最高値になる」仕様にデイリー・ライト をアップデートする方針でした。 このアップデートにより、短い時間しか費やせないユーザでも効率よくキャンドルを手に入れることができるようになり、それぞれにあった楽しみ方ができるようにになりました。また、時間の経過に合わせてキャラクターが疲れるように精製率が低下するので、、「作業」のようになっていた時間を、「ゲーム内で時間を過ごす」というUXに変化させたことが大きな変化だと思います。

UXについての考察

今回アップデートに至った課題「ゲームをやめるプレイヤーが増えた」ことについて単純なUX分析をしてみると、 「飽きてしまった」「デイリー・ライトの負担が大きい」「他のゲームに移った」といったことがあげられると思います。 しかし、この網羅的で解像度が低いままユーザーを分析してしまうと、 「どんどんイベントをすれば良いのでは?」「キャンドルの数を増やそう」「人気のゲームの要素を取り入れよう」といった、単調なその場凌ぎの解決策になってしまいます。それにより引き起こされる結果はSkyのコンセプトとズレが生じ、今までSkyが好きだった人が離れてしまうような解決策になってしまうことが予測できます。

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その中でthatgamecompanyは「以前からプレイしているユーザのデイリー・ライトをきっかけとした離脱」ではなく、ライトを集めることの重要性を知っていて、そのプレッシャーを感じてしまっている『献身的なプレイヤーの離脱である』とユーザの心理状態やその想いを適切に受け取った形で課題を考察しました。 この考察からもわかるようにthatgamecompanyは「ゲームを離脱するプレイヤーが増えた」という課題が上がった時に、そういったプレイヤーの心理を深く考察し、 「Skyで過ごす時間が嫌いなのではなく、楽しめなくなっている」「Skyを続けたいと思っているけども、キャンドル集めがしんどい」という矛盾を抱えたプレイヤーをありのまま見つめ、個人の楽しみ方に寄り添う提案をしてくれました。ここから私が学んだのはユーザの心に共感を持って寄り添い、その揺れ動きそのままを捉えることがこれからのUXでより重要になるのではないかということです。

thatgamecompanyからのメッセージ

thatgamecompanyは今回のアップデートによって、プレイヤーはより自分のペースにあった形でskyの探索を楽しめるようになると伝えています。 ユーザーの生活を想像し、仕事や授業などの少し合間を有効活用して欲しいと願っており、また集める時間を短縮出来たという実感や、集めるための意欲を感じてほいしいと考えています。 また今回のアップデートにとどまることなく、より良い体験を提供していきたいとメッセージをユーザに向けて発信してくれており、光が集まることでエリアの巡り方や生物との交流、フレンドとのエモートとのやり合いなどバリエーションを持って、光の報酬を提供していきたいと伝えてくれています。

アップデートから学んだこと

このアップデートから学ぶことはやはり、ユーザの心情をありのまま受け止めることの大切さだと思いました。「より良いUXを設計する」ためには

ユーザーをよく知り、大切にすべきユーザーの解像度を高くすることが重要です。しかし行動だけの分析は人の本質を見過ごしてしまう危険性もあり、 ユーザーの行動だけでなく、その背景にあるストーリーや感情の揺れ動きなども知ること が大事であると感じました。

現代社会には便利で同じようなプロダクト・サービスが増えてきており、ユーザーがサービスを自由に乗り移ることは非常に簡単になってきていると思います。 だからこそファンの期待に応えるUXであったり、ユーザーが何を感じ、何に価値共感をしているのか、ユーザーのありのままの感情を受け止め、改善を提案することがこれからのUX設計に求められることなのではないかなと思いました。

おわりに

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本当にこのゲームは優しさや癒しが詰まったゲームだと思います。最後にウェンディが言いたいことは『みんなでSkyやりましょう!!』です。